以前のパーカッション・マガジンでも「Cajon (カホン)」という楽器の特集で楽器のインプレをしたり、取材を受けたりして記事に取り上げていただいたが、今回またも「カホン」特集、しかも24ページにもわたる企画という。編集部から依頼を受けた時思わず「僕はカホンの専門家じゃないし、自己流でやってるんだけど、ホントに僕でいいの?」と聞き返してしまった。
じゃ、あなたは何のスペシャリスト?と聞かれれば、『?・・・』。ラテン音楽はいっぱい勉強もしたけれど、普段ラテンバンドはやってないし、ジャズもポップスも大好きだし、まあ日本においてパーカッショニストとは「何でも屋」としてどんな音楽にもフィットしたプレーができてこそプロフェッショナルというところがあって、気がつけば自分自身それを信条としていたり・・・。なので今回も自分流を打ち出して、多くの人にカホンという楽器に触れてみてもらおうと取材に応じたのであった。
自分が楽器を始めたころ、まだラテン楽器のノウハウに関する情報など全然無くて、楽器メーカーLP社(ラテンパーカッション社)から教則本付きレコードが出ていたくらい。しかも日本では手に入らない。当時はドルの両替もままならない時代、貿易会社に勤めていた姉に頼んで現金$100を手に入れ、つたない英文を綴った手紙に$100札を忍ばせて、LP社に直接、内心「送ってくれるはすないよな~」とダメもとで藁をも掴む思いでこのレコードをオーダー。
すると2ヶ月程してから米国から船便の荷物が届いた。他に心当たりなど無いのですぐさま段ボールを開けてみれば、教則シリーズ2枚、ソロ練習シリーズ3枚のレコード、計5枚が入っていて、そこにLP社社長の息子さん(後にそれが分かったのだが)から手書きの手紙が入っていて、遠く日本からオーダーしたことへの感謝の言葉と、頑張って練習してくださいという主旨の内容が記されていたのだった。その後毎日そのレコードを貪るように聞きまくり、ラテンリズムのペースをなんとか理解したのである。ん~、いい話だなぁ。(笑)
今の時代はネットが普及して、Youtube を覗けば楽器のテクニックもベーシックから巧みなプレーまでいくらでも見て聴くことができる。若いプレーヤーはそうやってテクニックを勉強しているみたいだが、自分にとって本当に必要な情報を選りすぐり、自分のイメージを膨らます事が逆に難しい時代。今回のパーカッション・マガジン(CD付き)の企画を見て、聴いて、音楽を志す若者になにかしらイメージしてもらえたら嬉しい限り。最近になってやっと、若い世代に自分が体得してきた音楽のやりかたを伝えたいと素直に思うようになった。だから自然とこういう企画が舞い込んで来たのかも知れない。
いい話だ!
返信削除私の中では、みちあきさんは、カホンも(強調)専門ですね。
ドラマーが、これ(カホン)もやれます、ってのをのちに見るようになって、今思い返すと、ブームもあったんでしょうか? ほんとによく見かけましたが、みちあきさんとはまーったく違いました。
いつだったか、カホンだー!と、すぐさま座って、べこべこ叩いたら、カホンをなんで知ってるの?と言われて、こっちがびっくりしたことありました。うひひ!
そう、ブームだったのです。っていうか今もそのブーム、続いているらしい。
返信削除音が出やすくて、手っ取り早くアコースティックなバンドに参加しやすいって事もあるんだけど、柔な叩き手も多いので、喝入れる意味も込めてこの企画を受けたってところもあるかな。まあ自由にしっかり叩けるようになろうよ!と。