この岩場がアワビ、サザエ、伊勢エビの格好の漁場となっており、古くは江戸時代から素潜り漁が盛んに続いてきた。いやもっと古くから行われていたに違いない。この地では、漁師といっても船で魚を獲る漁をする人と、素潜りでアワビ、サザエ、ウニ等の漁をする海士(アマ)と呼ばれる人がいる。アワビは浜値も高価にやりとりされるため、海士の仕事は大きな収入源となる。我が区ではその計画的な水揚げのために、アワビの稚貝を養殖、放流して安定した漁場を作っている。
引っ越してきてから、もう何度かこの口開けの日の浜の様子を見て来た。都会での仕事を定年退職した人達がこの地へ戻って来て海士になる人も多く、海士の年齢層も高い。しかし子供の頃から海に親しんで来た人達にすれば、勝手知ったる我が磯というところだろう。そういう海士さん達も年々と腕を上げ水揚げも増えてくる様子がうかがえる。写真は海女にデビューしてまだ2年目の女性で、昨年の口開けの日はまだ数枚のアワビを獲るのがやっとというところだったが、今年はぐっと水揚げも増えその嬉しそうな明るい表情で、海士さん達の雰囲気を和やかにしている。
そう、この素潜り漁は船に乗って海上から潜る人もいれば、磯伝いに歩いて海へ入り潜る人もいるのだが、終了時間間際に続々と大きな魚籠一杯にアワビを入れて磯へ上がってくる様子をみていたら、ちょっと自分も挑戦したくなった。素潜り漁はシュノーケリングとは違い、シュノーケル、足ひれ、そしてウェットスーツの着用は許されない。なので一回海底へたどり着くのにかなりの体力を使い、低水温に体温を奪われ、南の島でシュノーケリングする様に悠長に海に浮かんでいられないのである。カツカネイと呼ばれるアワビを岩から剥がすための重いバールの様な道具を持って、水中メガネと桶樽ひとつを頼りに海に潜ってアワビを獲る。泳げなくてもシュノーケリングやダイビングはできるが、素潜りはそうはいかない。組合員になったとしても、ん〜、やっぱり重労働だぁ。
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