2017年7月9日日曜日

1980年12月8日

我が家のカセットテープデッキが壊れてもう10年程経つだろうか?その時点でメディアは変遷してカセットテープを使う機会は無くなってしまった。ところが古い荷物を整理していたら、カセットテープがまとまって出てきた。しかし再生機器が無い。そこへ改装中の七浦小学校で使われた放送機材の中にカセットデッキがあり、廃棄してしまうというので譲っていただくことに。

その聴き返したいカセット、殆どが80年代前半に度々滞在したN.Y.でのライヴ録音テープである。中でもこれが一番気にかかる一本のテープ。Ray Barretto "Salsa meets Jazz at Village Gate" ゲストRandy Breckerである。日付は1980年12月8日。この日付だけでピンと来る人も多いかと思うのだが、この日はいろんな事があって今でも記憶が鮮明に蘇る。

この時のN.Y.滞在は3ヶ月程で、その半分をニュージャージーの友人の家に居候させてもらった。この日、その友人の車を借りて一人でマンハッタンまでライヴを見に。普段Salsaのライヴは週末に限られ、それもスパニッシュハーレ ムの中のクラブが中心。この”Salsa meets Jazz"は毎週月曜日、ダウンタンのヴィレッジでSalsaのバンドを観れるということもあって客層も幅広い。Jazzのソリストを一人ゲストに迎え て、ダンスクラブでは聴けないラテンジャズのインプロビゼーションが展開される。

このタイミングで新譜「Giant Force」をリリースしていたRay Barrettoのオーケストラ。このアルバム、ダンスできるのか?というくらいテンポの早くスリリングなアレンジの曲が多く、ゲストのRandy Breckerのソロもクールで、この日のライヴはその滞在中に見た中で一番熱いライヴとなり大興奮。

ショウは午前2時過ぎに終わり、興奮冷めやらぬまま車へ戻ると、なんと車の中が何者かに荒らされた形跡が、ダッシュボードがこじ開けられたり…。ただ車の 中にはなにも置いておらず、鍵も壊れていないのでそのままニュージャージーへ戻った。翌朝起きて友人に車の話をしようとしたら「夕べ、ジョン・レノンが銃 で撃たれて亡くなったらしい」と逆に切り出された。ちょうどライヴの最中の話である。当時20歳だった自分にはこのインパクトの強い一晩の出来事にハラハラ、ドキドキ。80年代前半のN.Y.の治安はまだまだ悪く、友人に迷惑をかけながらも、怖いもの知らずというか、その行動力に我ながらビックリ。

で、37年前ウォークマンで録音したテープ、ちゃんと再生できたっ! Ray Barrettoの演奏はやはり凄まじく、この頃のサルサの勢いを再認識できる素晴らしいライヴ。このノリは自分のイメージにしっかり焼き付いていて、つ いこの間の事の様にも感じる。多感な時期にできた貴重な体験である。

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