2013年7月2日火曜日

祭、そして少子化

今年も例年通り7月第2週の土、日に千倉地区の祭が行われる。ここでは祭のことを「まつり」と言わず「まち」と呼ぶ。現在綾戸さんのツアー中だが、不思議な事にこの週末だけはコンサートが無い。よって祭に全面参加できるのだが、先週から既にその準備が始まっていて祭当日までいろいろと忙しい日が続く。

以前のブログにも何度か書いてきたが、我が区には千葉県の無形文化財の指定を受けた三番叟保存会がある。三番叟は祭礼の始まりに神社に奉納する芸能である。三番叟の役者3人は通常小学校4、5、6年生の男の子が担当し、一度選ばれたら3年間通して役を勤める。そして歳ごとに役回りは大きくなる。ここ南房総は少子高齢化がどんどん進んでおり、今年の三番叟は4、5年生の子供が不在。3年目にあたる6年生の子が大役を演ずるのに、急遽他の2役を大人が演じることとなった。そして来年この6年生の子が小学校を卒業すると、数年の間4、5、6年生の子供はこの区に居なくなってしまう。三番叟存続に関してはまだ論議が必要なところだが、現実問題は大きくのしかかる。

年に一度の祭礼だが、移住した僕にとっては地域の人達と一番密接に関わる時期となる。三番叟保存会のメンバーとして鼓を叩かせてもらっているが、この事こそ奇跡。どう考えても他所から移り住んだ人間が地域の伝統芸能保存に関わることなどあり得ないのではないか。それを年々強く実感するのである。しかし人口が減少していくのは明らかで、祭全体の運営も年々大変になってきているのも事実。ちょっと大げさかもしれないが祭を通して日本の抱える問題まで見えてくる。

祭は区ごとに多くの人達の協力で実現するわけだが、そこに積極的に協力する事で自分のことを認識してもらっている部分は大きく、おかげで移住者であるにも関わらず多くの人に親切に付き合っていただき、人間関係も広がった。田舎に住む醍醐味は風光明媚な土地に暮らすという事だけではなく、やはり地域の人と関わってこそ。そして田舎の良さをより深く実感できるのだと思う。

引っ越してきた当初は祭に参加すること自体新鮮な体験で、自分が祭をどう楽しむかを考えたものだが、この数年は区民の人達にいかに楽しんでもらうかと考えるようにもなった。それは祭が当日の2日間ということではなく、それまでの毎日の準備そのものが「祭」なのだから・・・。

2 件のコメント:

  1. また千倉の熱い夏がやってきますね。
    どこの地域でもやはり少子高齢化の波は押し寄せているのを実感します。ご多分に漏れず古川でも町内を4っに別けて執行してきた起し太鼓を3っにしてやってはどうかとの議論が出てきたり、屋台の囃子を演奏する子供たちも減ってきているので、とうに卒業した高校生を再度お願いして載せている屋台組もあったりと祭りそのものの存続に係わる問題が山積みです。
    倫明さんが仰っしゃる通り祭り自体が日本の縮図そのものですね。祭り頑張ってください。

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  2. Michiaki Tanaka2013年7月4日 11:50

    今年はなんだかまだ涼しくて、祭り囃子の稽古の音も心なしか寂しく聞こえます。それはまだ参加者が少ないからかもしれませんが。ちょうど祭を境に季節が一気に夏へ変わるので、その助走という感じでしょうか。これから徐々に賑やかになると思います。
    三番叟も毎夜の稽古で子供の舞がどんどん上達するのを見るのもなかなかいいものです。

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